『海街diary』

先日『海街diary』を観てきた。あるラジオで「とりとめがなくて、大きな出来事もなく、ただ流れていく感じの映画」と聞いた。それは恐らく悪い意味での感想ではなかったんだろうけど、観た感じでは逆に良い意味でただ流れていくような映画ではないと思った。

海街、鎌倉で4人の姉妹が暮らす話だが、その末っ子は腹違いの妹(すず)。他の姉妹たちは鎌倉で暮らしていたのであるが、彼女たちの父親は他の女性とくっつき、他の場所で暮らしていた。その父親が死に、葬儀に参列した際に彼女たちは自分たちの腹違いの妹と出会う。その腹違いの妹自身の母親はすでに亡くなっており、現在の母親は継母であったため、そのことを気遣った姉たちは「鎌倉で暮らさない?」とすずに伝えると、すずはその提案に乗って姉たちと鎌倉での暮らしを始める…

その暮らしの中で、自分の母が家族のいる男性を好きになってしまったということ、また自分がその母親のこどもであるという自意識から自らを肯定できずにいたが、3人の姉と暮らしていく中でだんだんと彼女たちと打ち解け、自分に対して正直に生きていくようになっていくというすずの成長の記録でもあるが、物語の中では他の3人の姉妹それぞれの考え、生き方も描かれており、彼女たちの変化も織り交ぜられている。

あまり深く感想は語れないが、鎌倉での日常的な風景が四季折々に映されているのがとても美しかった。けれど、単に美的であるというよりも人間の暮らしに基づいた感じがとてもよかった。しらす丼、アジフライ、鎌倉の食べ物もとても美味しそうにみえた。

キャストに関しては、綾瀬はるか長澤まさみ夏帆広瀬すずといった豪華な女優陣が主人公を演じ、脇役には樹木希林堤真一リリー・フランキー風吹ジュン大竹しのぶなどのこれまた豪華な役者たちが配役されていて、日常を描き出す映画には派手な人たちばかりかと思いきや、彼らの演技力によってその違和感は全く感じられず、むしろ良い役者たちによって「日常」はとても自然に描かれているような印象を覚えた。

 

とってもよい映画でした。